記念すべき、小説新潮新人賞受賞作。初めて活字となって世に出た作品である。筒井康隆氏からは「エネルギーの塊と言っていいほどの秀作」と、井上ひさし氏からは「筆に勢いがある」「ただの人ではない」と、過分なお言葉を頂戴したため、思い切り思い上がってしまい、第二作がなかなか世に出なかったという経緯がある。
バートランド・ラッセルをモデルにした数学者、榊原先生と教え子の大学教授の「おれ」が、泥酔し街を破壊していくという、爽快な(そうか)物語である。この榊原先生というキャラクターはとても気に入っているので、この人物を主人公にした連作短編の執筆も、ぼちぼち始めている。
1993年 小説新潮12月号