東京創元社から「バカミス」ではないものをという依頼を受け(さすがにこんな露骨な言い方ではなかったが)、執筆した第三長編。この作品はロス・マクドナルドの『一瞬の敵』から想を得たものである。本作はビデオ、『一瞬の敵』は録音テープといった違いはあるものの、ラストの緊迫感は勝るとも劣らないものになっていると、いくら説明しても、誰も納得してくれないのはどういうわけだろうか。
なお、今回は、なるべくオーソドックスな作品を心掛けて執筆したのにも関わらず、相変わらず「バカミス(褒め言葉)」といった言葉で評価してくれる方がいるのは、作者としては釈然としないところである。
2005年 創元ミステリフロンティア