このページでは、ミステリ作家の視点から、書籍、映画、ゲームなど色々な「表現」について評論したいと思います。
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中国の亡霊

以前住んでいたマンションがやっと売れて、売買契約を結んできた。買って下さったのは若い中国人の夫婦で、これからリホームして“子作り”に励むそうな。慶賀。考えてみたら、義理の叔母にも中国人がいる。
だから、と飛躍するけれど、中国人女性の私立探偵が主人公という物語があったっていいよね(惹句には「ミステリ界初、中国人女性私立探偵、衝撃のデビュー! 」とあるけれど、S・J・ローザンのリディア・チンを忘れちゃ駄目だよ)。
おっと、一つ断わっておくけど、おれがこのサイトで映画評や書評を書いたりするときに「自分語りがウザイ」と2ちゃんに書いた馬鹿がいるが、これはおれの日記なんでね、自分語りをするために書いてるんだよ。文句があるなら読まなくていい。
本書の主人公、王梅(ワン・メイ)は中国国家警察公安部をスキャンダルのために辞め、今(北京オリンピック前夜)は北京で私立探偵を生業にしている。そこに持ち込まれた依頼は、文化大革命時に、秘かに紅衛兵によって持ち去られた、漢王朝伝説の翡翠を捜し出すというものだった。おお、なんとも絵に描いたような話ではないか。
物語が進むにつれ、王梅の父親は文化大革命時、収容所に収監され死んだことが明らかにされていく。そして、その頃の亡霊が今も尚……。
ちょいと話は変りますが、最近、やっと『罪と罰』を読了いたしました。ロシア文学といえば重厚長大の代名詞のようなもの、大昔に読んだ『戦争と平和』なんてその代表作だろう。『罪と罰』がどんな話なのかは凡そ知っていたが、これまた重厚長大小説だと思っていたのだが、大著ではあるけれど大河小説ではなかった。では、なんで、こんなに分厚い小説なのかと申しますと、言葉で形容すべきことを、すべて具体的な文章で書いているからなのね。つまり「彼は、しどろもどろに話した」と書くのが普通の小説なら、ドストエフスキーは、彼のそのしどろもどろの話を、延々と何ページにもわたって書き続け、いやがおうにもそいつの喋りが、しどろもどろであることを印象付ける。
登場人物の総てがこのやり方で描写されるものだから、主人公、ラスコリニコフをはじめ、その友人、母親の婚約者から検察官、はては居酒屋でたまたま隣に座った親爺まで、まあしゃべることしゃべること、こんな小説を書いていて、息苦しくならないのは、なるほど作家の体力に違いなのか。
いや、本書を読んでいて、同じことを考えたのだ。著者のダイアン・ウェイ・リャンが饒舌な登場人物ばかり登場させるというのではない。休日のクラス会、捜査上訪れる居酒屋、一瞬しか登場しないような人物でも、詳細に描写し、そこで行われる会話も、なにやら意味ありげなのだ。さらには、母親、妹、叔母さん、そして、母親の古い友人である老人と、その人間関係を掘り下げていくにつれ、一体、肝心の翡翠捜しはどうなるんだろうと心配になってくる。
ところが―
ここからネタバレ(内容には触れません)↓
いや、びっくりしましたね。この物語で語られる謎とその意外な答えというのは、実にこの複雑な人間関係そのものだったのだ。翡翠なんてただの狂言回しにしか過ぎない。なるほどなあ、確かに足許をすくわれた。それで肉親との葛藤を延々と着ていたのね。かなり苦い真相。それがなんとも甘い(洒落じゃないよ)解決であるところがいささか拍子抜けだが、こんなサプライズは初体験だった。
ここまでネタバレ ↑
“翡翠の眼”という言葉には、実は深い意味があるのだが、それがあっさり提示されたときに、総ての謎が解けていくのは圧巻。
『翡翠の眼』 ダイアン・ウェイ・リャン 羽地和世 訳 ランダムハウス講談社文庫 2008
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マイケル・ジャクソンがペプシのCMに出ていたときのこと。
そのライブバージョンの撮影のとき、上に吊られたライトが火を吹き、マイケルは頭に大火傷を負った(頭髪が燃えた)。皮膚移植手術したくらいの重症だった。
撮影中だったこともあり、その一部始終はビデオに収録されていた。
NHKでは海外トピックスの時間にそのシーンをオンエアした。
そのときのタイトルが、
「おコゲよ、マイケル」
鷹揚な時代だったんだなあ。
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わたしのコピーライティングの先生だった。
私淑していたのではない。入社して制作部に配属されたとき、トレーナーとして手取り足取り、コピーライティングの基本を教えてくれた人だった。そのとき既にTCC(東京コピーライターズクラブ)のクラブ賞(最高賞)を受賞して、頂点を極めていたといっていい。しかし、物静かで温厚な人柄、偉ぶることも怒ることもなく、淡々とコピーの指導をしてくれた。
最初の業務で、一緒に仕事が出来たのは感激だった。その仕事ぶりをじっくり拝見できた。コピーが書かれた原稿用紙の束、それは電話帳くらいの厚みがあった。その一つ一つをテーブルに並べながら説明していく。どれもこれも、すぐに使えて面白いCM企画になりそうと思えるものだった。
奇を衒ったり、「危ない」ことを考えれば受けることに気付いた凡百のコピーライターはこぞって訳の分からんコピーを書いた。孤軍奮闘とでもいうべきか、唯一、発想の経緯がきちんと分かるコピー、それも傑作ばかりを次々と発表した。
60歳。なんという若さで逝ってしまったのか。一服の清涼剤のようなコピーにはもうお目にかかれない。そして、ああしたまっとうなコピーが書ける人材が果たして今の広告界にいるだろうか。
敢えて名を伏せているのは、お亡くなりになったとき、奥様が騒がれたくないのであまり大っぴらにしないで欲しいと言われたと聞いたからだ。既に新聞にも載ったことだけど、尻馬に載る必要もあるまい。
自著の中で「仕事に役立つサイト」として訃報ドットコムを挙げている唐沢俊一が、早速、日記の埋草に訃報を書いている。
名前を誤記し、年齢を間違えて。
死者に対する無礼の数々、今日に始まったことではないが、その報いはいずれの日にか来ると、肝に銘じたまえ。
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面白くて為になる(買うのに勇気がいる)

なんかジュンク堂と相性が悪いみたいでね。昨日に続きジュンク堂にいって、今回は本書を捜したわけだ。検索したら、9階(最上階)の洋書売り場の一番奥に3冊あると表示された。で、“On Japan”というコーナーをざっと見たんだが見当たらない。ああ、あったあったと手を伸ばしたら、“Otafuku”という本だった。紛らわしい。
で、結局、店員に助けを求めたのでありますが、3人がかりで捜しても見つからない。なんで?
「売り切れ?」
「いえ、1冊売れたのですが、まだ2冊残っているはずです」
「他の階とか」
「8階の辞書売り場、3階のサブカル売り場、B1階の漫画売り場にも問い合わせたのですがないようです」
「万引きされたのかしら」
「わたしがここに3冊表紙をこちらに向けてレイアウトしたんですが、今見たら並びが変わってます。昨日の担当者が並び変えたようなんです」
「その担当者は?」
「本日は休みで」
結局、あるはずだけどどこかにいっちゃったということらしい。リブロにいく。2Fの洋書売り場で訊いたら、捜してくれて1Fのカウンターに取り置きしてくれた。でさ、1階で買ってカバーかけてもらうとき、両サイドのレジの女がじっと表紙を見ているのさ。
(まあ、イヤラシイ、この爺、萌えが趣味なんだわ)
いや、これが面白いの。苦労して入手した甲斐があります。AA(アスキーアート)から始まる各項目の選択の抜群なことと、説明記述の内容が正確な上に洒落ていて非常に楽しい。Aso Taroなんて項目も笑わすけど(Ishibaも載ってるよ)Anmoku no ryoukaiなんてのもいいね。Fan serviceなんてのも憎い選択だ。「風がスカートを捲くったり、裸の女の子がシャワーから出てくると、胸と前を蒸気だけが隠している」シーンとか解説もいちいち細かい。因みにPanchiraのところでは、
An upskirt or panty shot.Panchira is one of the most common forms of FAN SERVICE
なんて書かれている。
こんなに楽しい内容になったのは、東大で博士号獲得を目論んでいる、著者パトリック・ウィリアム・ガルバレスの努力の賜物だろうが、以前も書いたけど、やはり監修者の大野典宏さんの力が大きいんだろうなあ。史上最強のOtaku、Josh Barnettの記事の中にこんな部分があるんだけど、
Since Barnett,a host of otaku fighter have appeared,incliding Nagashima Jienotu Yuichiro, who wears COSPLAY to the ring, uses ANISONGS as ring music,and speaks 2CHANNEL jargon.
こんなこと大野さんしか書けないよねえ。
森川嘉一郎・山本寛・ボーメ・市川孝一・綾川ゆんまよ・杏野はるな・桜川ひめこ・ひとみ・葉月あこ・岡田斗司夫・村上隆・中川翔子なんかへのインタビューも載っているし、面白くて、為になって(英語の勉強にもなるし)、読んでいる間幸福な気分になれる好著であります。
昨日買った、つまらなくて、役に立たなくて、読んでいる間不愉快な気分になる本とは大違いだ。
そういえば、岡田斗司夫は項目もあり、インタビューも載っているのに、岡田と並ぶわが国Otaku界のもう一方の雄はどんな扱いかと申しますと、Karaokeの次がKashihonということでご判断下さい。著者の見識に拍手(Karasawa who? って言ってましたが)。
『The Otaku Encyclopedia』
パトリック・ウィリアム・ガルバレス 講談社インターナショナル 2009
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逮捕されていますがなにか

上田市の書店で男が女性の背中を携帯電話のカメラで盗撮し逮捕されました。迷惑防止条例違反で逮捕されたのは東御市滋野の無職●●●容疑者31歳です。調べによりますと●●容疑者はきのう午後2時前上田市常磐城の書店で本を見ていた20代の女性に近づき携帯電話のカメラで背中を盗撮しました。女性が盗撮に気づいて店員に知らせ●●容疑者は昨夜逮捕されました。
女性は下着が透けて見える服を着ていたということで●●容疑者は背中を撮影したくなったなどと容疑を認めているということです。
上田警察署では余罪があるものとみて詳しく調べています。
(SBC信越放送のサイトから)
ええと、以前のエントリで紹介した唐沢の発言は、
ところで、これはプライベートであるから、盗撮した人物がいたとして、それを訴えることができるかというと、これが意外に難しいようだ。日本の法律には“盗撮罪”などという罪はない。もし、あったら新聞記者の特ダネ写真などは全部罪に問われてしまう。
ええと、簡単に捕まっていますが、なにか。
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周辺部分を落穂拾い

はてさて。
kensyouhanさんによる精緻な検証が開始されそうなんで、こちとらその周辺の話題を拾ってまいりましょう。
本日、池袋の例のジュンク堂で購いました。
捜すのも面倒なので、端末で検索したら、在庫21冊のくせに棚の表示がない。さっそく店員を呼びつけて、
「おいおい、この本はどこに置いてあるのかね」
「はい、多分5階かと思いますので、調べます。しばらくお待ち下さい」
店員に罪はない。5階ビジネス書売り場では「しごと」の本のフェアを開催しているようで、その手の本だと思ったのだろう。
案の定、5階からはなんの返事もなく、すみませんすみませんを繰り返す店員に、
「多分、この人の本は3階にあるんじゃないかな」
とヒントを与えたら、
「あ、この人、弟さんが漫画家の人ですか」
「うん、この前、こちらのイベントをドタキャンした人だよ」
「はあ……」
というくらいの知名度の方です。
で、総論を述べますが。「博覧強記」でもなく、まともな「仕事」をしたこともない唐沢俊一が、いかにしてこんな本を書いたのかと申しますと、翻訳すれば簡単なこと、博覧強記=唐沢俊一(ただの無知)が、どうやって仕事(ガセとパクリで本を出版すること)を得てきたかに関して、的外れなことをだらだら書いてあるだけなのですよ。ま、その、自分語りも大分美化されていると申し添えておきますか。
まともなビジネスのことなんて一行も書かれていません。一般のビジネスマンの方へ、なんの役にも立ちません。
これまでの唐沢の本がP&G+御託だとしたら、この本は御託だけで成立している本です。
酷いなあ。紙屑を上梓するとこうなるという、別に知りたくもない好例。
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このエントリは、山口芳宏さんからの依頼で削除しました。ご迷惑をおかけした関係者にお詫びします。
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盗作の常習者も盗撮はダメダメ

いやはや。
人間というものはここまで駄目になれるのかね。毎回末期的な状況と言ってきたか、こいつはもう死んでいて、腐臭が漂っている。先日、某編集者と唐沢の駄目振りを話していたら、こんな言葉が出てきた。「三才ブックス? ああ、あそこあたりは校正なんかしてないでしょうね」だそうですよ。
今回のお題は「盗撮写真のリテラシー」。本誌の「危ない撮影こそすべて!」に関連させているのだろうね(今回に限っていれば、本誌の特集もやや拍子抜け、もっと過激なものを期待していたんだが、そこまでいくと犯罪になっちまうのかな)。
P.150~153の4ページの記事、内容はこんなところ。
●エピソード1
ネットサーフィンして自分の写真に出くわした件
未知の人物のblogに焼肉屋で七輪を囲んでいる自分(唐沢)の写真がアップされていた。これは盗撮されたものだ。
●エピソード2
某女性タレントと仕事の後居酒屋にいった。その際ラブホテル街を抜けて行ったら、そのタレントがやっているDJ番組に「唐沢先生とラブホ街をあるいていましたね」という手紙がきた。
●エピソード3
アメリカの有名な殺人犯ルース・スナイダーの電気椅子処刑シーンは、ニューヨーク・デイリー・ニュースのカメラマンに隠し撮りされ、特種として紙面を飾った。
●エピソード4
ネッシーの写真の中で、最も有名なロバート・ケネス・ウィルソン撮影の“外科医の写真”は作り物だった。
以上である。盗撮ネタは冒頭の一つのみ。しかも、唐沢が焼肉を食っている写真だ。どこが「古今東西トンデモ事件簿」なんだろう。
では一つ一つ検証していこう。
●エピソード1
ネットの中をサーフィンしていると、いきなり自分の写真に出くわして驚くことがある。それも、撮られた記憶のない写真である。
ネットサーフィンとは、Wikipediaによれば
ネットサーフィン (Net Surfing、ネットサーフ) とは、ウェブページの閲覧において、各ページを、興味のおもむくまま次々に表示して閲覧していく行動を、波から波へと渡るサーフィンに見立てた造語。
ということである。唐沢は未知の人物のblogにどうやってたどり着いたのだろうか。まあ、考えなくても分かることだ。唐沢は「唐沢俊一」という言葉で画像検索していて、見覚えのない自分の写真を見つけたのだろう。このエピソード、随分以前にも唐沢の著書に載ったことがあるから、ネット上で隠し撮りされた自分の写真を見つけたのは、後にも先にも1回きりのことなんだろうね。それを「ネットの中をサーフィンしていると、いきなり自分の写真に出くわして驚くことがある」なんて、頻繁にあることのように装うのが唐沢流。
因みに、本日おれがミステリ関係のサイトをサーフィンしていたら、こんな写真を見つけちまった。
二階堂黎人さんのサイト「恒星日誌」の本格ミステリ作家クラブのパーティの写真だが、一番左端に写ってるのがおれである。藤岡真で画像検索したって、こんな写真見つからない。ね、唐沢クン「ネットの中をサーフィンしていると、いきなり自分の写真に出くわして驚くことがある」ってのは、こうしたケースを言うんだよ。
●エピソード2
その数日後、その女性タレントのやっているDJ番組によせられた手紙に、「○月×日、某所を唐沢先生と2人歩いている△△さんを見ました。2人ともお疲れの様子でしたネ」などと、いかにもラブホから出てきたところを見たぞ、というような内容があった時にはかなり慌てた。
番組に手紙が送られても、こうした荒し紛いのものは、スタッフが廃棄しちまうから日の目をみない。わざわざ唐沢に、「こんな手紙がきましたが事実なんですか」と確認したのだろうか。まあ、打ち合わせ後にマネージャーも付き人もいない状態で、無防備に唐沢とのみに行くタレントなんてろくなもんじゃなかろうが。
さて、エピソード3に移る前に、唐沢はこんなことを書いている。
ところで、これはプライベートであるから、盗撮した人物がいたとして、それを訴えることができるかというと、これが意外に難しいようだ。日本の法律には“盗撮罪”などという罪はない。もし、あったら新聞記者の特ダネ写真などは全部罪に問われてしまう。
なぜか番組に寄せられた手紙の話が、「これで投書子が写真雑誌のスタッフか何かだったら完全にアウトだっただろう」と“盗撮”されたという話になっているのだが。
当たり前のことだが、盗撮は軽犯罪法や各地方自治体の迷惑防止条例などで取り締まりの対象となっている。また映画館でのスクリーンの盗撮は知的財産権の侵害で罪に問われるし、本人の承諾を得ない盗撮は肖像権侵害にも抵触する。
それよりなにより「新聞記者の特ダネ写真などは全部罪に問われてしまう」とは何事か。この馬鹿はピュ―リッツア―賞を受賞するような報道写真は全部盗撮だと思っているようだ。いやはや。
●エピソード3
“虎の女”と呼ばれたルース・スナイダーはマゾっ気のある愛人ジャック・グレイと結託して、夫アルバート・スナイダーを殺害する。今回の唐沢の記事には参考文献が明記されていないが、このエピソードもいろんなサイトのコピー&ペーストなんだろうな(想像だけど)。ところで、この処刑の写真は、文学の世界に名作を1本、誕生させたと唐沢は薀蓄を傾ける。
それまで映画の脚本などを書いていた売れない作家、ジェームズ・ケイン、この写真を見て衝動を受け、ルースとジャッドのことに興味を持って調べ始めた。やがて、その取材は、犯罪小説『郵便配達は二度ベルを鳴らす』となって結実し、ハードボイルド文学の傑作として評価され、ルキノ・ビスコンティによって映画化までされた。
邦題こそ『郵便配達は二度ベルを鳴らす』だが、このルキノ・ビスコンティの処女作“Ossessione(妄執)”は、映画化権を得ていなかったため、ジェームズ・ケインの原作によるものとは認められず、アメリカでは公開すらされなかった。同じくルース・スナイダー事件に題をとった『殺人保険』は、ビリー・ワイルダー監督、ワイルダー、レイモンド・チャンドラーの脚色で映画化されている(邦題『深夜の告白』)。
●エピソード4
なんでネッシーの写真が盗撮なんだよ。
唐沢はこう言訳する。
これまで撮影された多くの宇宙人写真やUFO写真、それに怪生物の写真は、当然のことながら、そのほとんど総てが盗撮に近いものだった。さぁ、撮影しなさいとポーズをとってくれる宇宙人なんて滅多にいない。
気の利いたギャグのつもりかね。なるほどこの伝で行けば、報道写真のほとんどは盗撮になってしまう。いや、それは馬鹿の屁理屈だからどうでもいい。「これまで撮影された多くの宇宙人写真やUFO写真」とはなんのことかね。これまで撮影された総ての宇宙人写真やUFO写真(エイリアンクラフトとしての)はガセなんじゃなかったのか。宇宙人に気付かれないように、こっそり撮影した宇宙人写真というものが存在するなら見せて欲しい。「と学会」運営委員というのはビリーバーでも務まるのかね。
で、最後の締めが、
例えば冒頭に書いた私と女性タレントの写真、これが三流写真誌に載ったとしたら、私も笑って打ち消せる。しかし、週刊文春や週刊朝日といった雑誌に掲載されたとしたら(そういう写真を日本の一流誌は平気で載せるのだ)…。
だから、お前はいつ「女性タレントとのツーショット」を盗撮されたんだよ。でもって、万が一そんなことがあろうが、一流誌なんかに載るわきゃないだろ。
妄想が炸裂してるなあ。
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『七つ星の首斬人』
21日に著者校を戻し、さて後は出版されるのを待つばかりであります。今朝、担当編集者からメールが来ていて、表紙でちょっと遊びたいのでよろしいかしら、と趣旨が書かれていた。こういうのは大歓迎なので当然了解。むろん中身も遊び心満載、化学式とか家紋とか図版も入っております。
7月30日発売予定です。
『七つ星の首斬人』 東京創元社 クライムクラブ 2009
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嫌談

怪談(a ghost story)短編集であります。しかし、普通の怪談とはちょっと違う嫌~な話、嫌談とでも申しますか、とにかく嫌な話だなあと顔を顰めながらも、寒気がじわじわと背中を上ってくるのを感じ、気がついたら、総毛だっているという、自信をもってお勧めする、怖い話の集大成なんです。
表題作「枯骨の恋」にこそ、ghostらしき(あくまでも“らしき”)白骨が出てきますが、主人公の昔の恋人とおぼしきghost、これが生前のええ格好しいの駄目男そのままの駄目なghostなんです。といって喜劇ではありません。そろそろ色香も衰えようという主人公が、男を連れ込むと、この白骨、その様を無言で、眼球のない眼窩でじっと見ている。祟るとか呪うとか、そんな悪さをするのでもない。まあ、ラストに、インチキな若い男に誑かされそうな主人公に泣き言を言い、幽明の境を……となることはなるんですがね。
この短編集、表題作以外も主人公は、皆“行き遅れた”女性。それが、痛々しいほどリアルに描かれると、そこから展開される人間関係の物語は必然的に嫌~な話。しかも、驚いたことにghostが登場しない話のほうがずうっと怖いんです。
屈折した女の友情が恐ろしい「親指地蔵」、上質なミステリであり、チリチリと神経をいたぶられるような嫌談「翼をください」、弾けた子造り願望をが破滅する「GMS」、正統なホラーっぽい「棘の道」、文字通り擂鉢の底にじわじわと落ちていく恐怖「アブレバチ」、唯一嫌談ではない怪異譚「メモリィ」。
スプラッタのホラーのともう飽き飽きしているだろうあなたへ。
思い切り怖くて、思い切り嫌な気分になれる作品群です。
『枯骨の恋』 岡部えつ メディアファクトリー 2009